ものつくり道

「痛くない注射針」で有名な岡野工業社長さんの法話。好き嫌いでいえば超好きなのだけど、鼻血出すのは後でゆっくりやるとして…。日本人は、ベースボールを野球に産み変えたように、製造業を「ものつくり道」にしたのではないかと思った。いま*1

■もちろん大量生産・大量雇用は合理の鎌足。職人気質は向かない。
  1. それでなくても大量生産・大量雇用は人件費の上がった国内では持続を期待し難い。
  2. そもそも大量生産・大量消費は、リニアな性能向上や小粒な機能追加*2が繰り返された国内では飽きられている。
  3. レーガン大統領の元特別補佐官氏は近年の自国を『米国はかつて工業国であったが、現在はサービス国家』と認識している*3。程度や様態の実相はともかく、この事は日本にも起きる。
■ただし。野球 (ものつくり道) は、ベースボール (manufacturing industry) ではない。*4
  1. PB全盛・流通主導の商材は「ニーズ即応型商材企画」だ。これは需要適応に強い。
  2. 「ユーザーエクスペリエンス発明型商材企画」は、アトラクション一本勝負の芸人。
    1. ドラえもん系:痛くない注射針、VHS…(技術的イノベーションを含み得る)
    2. 枯れた技術の水平思考ウォークマンファミコン…(技術的イノベーション関係ない)
    • 需要適応には弱いが、そもそもそんなん考えてない。「ミライの需要をクリエイト」すんので。当たればしばらく青の青*5
  3. 他に。どう接していいかわからないよ系

「ものつくり道」が活きそうなのは、2の1。ドラえもん系だろう。ただし2系は技術さえあればというものではない。3DTV元年!つったら、本気で『あんなこといいな♪できたらいいな♪』って歌えないと、いかん。売るため関係なくマジで。組織がデカければデカイほど、歌って踊れる人の数は減る。

■...うわ〜ん、タスケテ!東京通信工業株式会社設立趣意書!!
  • 一、真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
  • 一、経営規模としては、むしろ小なるを望み、大経営企業の大経営なるがために進み得ざる分野に、技術の進路と経営活動を期する

なんとなく。日本の製造業は、数千の岡野工業に散開し、数百のダイソン市場を狙うのが良いような気がする。この場合、大手向けの終身ケツモチ*6維持政策は、メジャー行きを阻む野球協約のようなものだ。イノベーションクラウドアウトする事になる。

続ければ続けるほど、ものつくり道は薄れてゆくだろう。

*1:だからモノツクリ"教"に見えた?

*2:aka.「大量生産と職人気質の芸術的なコラボ」

*3:逆ギレ乗務員が共感を呼ぶ理由 / The Wall Street Journal, Japan Online Edition - WSJ.com]。ややアメリカの昭和ノスタル爺っぽいが。

*4:アメリカ人のエイリアスはゴメンだ

*5:ブルー・ブルー・オーシャン

*6:終身雇用・ケイレツ・モチアイ