デンパキチ003

先日、ある改革派といわれる政治家の側近が「地デジには問題があるが、うちの場合はマスコミを味方にして抵抗勢力と戦っているので、テレビ局を敵に回したらおしまいだ」と語っていた。

イ)政治とマスコミの利害一致 Fraternity7
 顔が売れる、親しみを持たれる、というのは、政治家やそれを志す者に取って、とても価値のある事だ。そのまんま東さんも橋下弁護士さんも「テレビのおかげ」。この点に於いて、現在のネットは、テレビにまったく歯が立たない。
ロ)メディア・コングロマリット
 テレビ朝日朝日新聞の「提携」、放送持株会社の*規制緩和*などにより、情報の多様性が減殺する可能性がある。ちなみにイタリアの第74代、79-80代、82代首相を務めるシルヴィオ・ベルルスコーニは、全国的な地上波放送を行う民放4局のうち3つを所有、イタリアのメディアの70パーセントをコントロールするといわれる(URI)。日本では、個人名が表に出るといろいろあるので、「ゼーレの老人達」っぽくなるだろう。

どこの国でもテレビ局は強力なロビー団体だが、競争のない日本のテレビ局は世界最強である。

デンパキチ:デンパク・キー局・チホウ局。

  • イ)日本のTV広告費は年間2兆(電通試算の市場規模)
  • ロ)番組枠(CMを出す場所)の販売は大手代理店が事実上独占。←デンパクの既得権益
  • ハ)キー局はこの資金を元に、番組を「製作・著作」。
    • ハの1)資金を出す者が著作権を握るのは、概ね普遍的な現象。
    • ハの2)「流通」が圧倒的優位に立つと、番組制作社(番組価値の創造者)に成果に見合った報酬が渡らない。
    • ハの3)コンテンツの2次利用ビジネスの成功例は「価値の創造者」が自ら著作権を管理・維持・行使した場合。
    • ハの4)近年、キー局は「制作子会社」を設立し、そこに制作業務を集約する傾向。
  • ニ)チホウ局は、キー局製作番組をそのまま流す比率が高い(全国ネット)。
    • ニの1)デンパクは「全国放送しますから」というカタチで、企業に番組枠を売る。
    • ニの2)電波免許の一県一波制により、国土面積の割に地方局は非常に多い(民放連の圧倒的多数)。
    • ニの3)CATV/衛星放送/IPTVの普及は、地方局の不利益。
    • ニの4)地方局の経営陣には、大概「地元のセンセイ」が居る。
  1. 「無料の地上波放送」は、年間2兆円の水路。
  2. デンパク・キー局・チホウ局は、周辺流域の「地主」。
  3. 番組制作会社は「小作人(常時雇い)」。←コメは地主のもの。
  4. 実演家は「小作人(臨時雇い)」。←コメは地主のもの。
  5. 邦画界とアニメ屋は「半自作」←「地主」から水を借りる事がある。また、地主が持つ「大衆へのリーチ」も借りねば「売上げ」が落ちる。
  6. ハリウッドは別流域の「自作農」

 「無料の地上波放送」が「娯楽の王様」である現状が変化した場合、これらの弊害が緩和する可能性がある。ただし、デンパキチが壊滅したあとで、ナニカがその王座に座るようでは、元も子もない。

 「デンパキチ」は「数ある顧客へのリーチ手段の一つ」、「数ある制作資金調達先の一つ」、「著作権保有しない流通パイプの一つ*1」まで、相対的に減殺するのが望ましい。

 、、、、名誉革命?カウンターサイドにもっと力が要る。無邪気なホリエモンでは実効が薄い*2。カウンターサイドにもっとオトナが要る。

*1:映画館やツタヤがそうであるように。

*2:教訓だ