製造は衰退しました。
- 2010/04/05:総務省作業班、「700/900MHzペア」で利用の方向へ - ニュース:ITpro
「周波数の国際協調とコストとの関係」は国内メーカー6社(京セラ、シャープ、パナソニック、日立製作所、NEC、富士通)が連名で回答し、「周波数は 700/900MHzをペアでつかう選択肢の実現性が最も高い」とし、700/900MHzのぞれぞれでペアで使うなど国際協調した場合は「影響範囲が電波の送受信機部分だけであり、端末全体から見ればそのコストダウン効果は限定的」という見方を示した。その一方でクアルコムジャパンら外資系メーカー4社 は具体的な数字を示しながら、「端末の製造台数が多ければ端末コストも安くなる。周波数の国際協調がなければ端末コストの増大だけでなく、モバイルサービスも縮退する」と訴えた。
- 非関税障壁
- 水道の哲学
ガラパゴスケータイの根底には、この姿勢の差があるように思う。非関税障壁は、人件費が安く技術が未熟な状況では、国際競争力を培養する時間稼ぎになる一方、人件費が高く技術が成熟した状況*1では、ワークシェア*2として機能する。最悪の場合、行きつく末は「農家栄えて農業滅ぶ」になってしまう。コストダウンにがつがつ行くのがメーカーだ。
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次世代ケータイ(LTE aka.3.9G)の周波数見込み。 | ||||
米 | 欧 | 東亜 | 日 | |
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700MHz帯 | 上下セット | 上下セット | 上りまたは下り | |
800MHz帯 | ||||
900MHz帯 | 上りまたは下り | |||
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2.6GHz帯 | 上下セット |
青 :情報伝送量は落ちるが、室内まで入り込みやすい。バランスの良さから「黄金周波数帯」とも。
「デンパの特性」は周波数によって微妙に違う。「電波の送受信機部分」というのは、これを掴める/掴めない=入り易い/入りが悪いという、ケータイにとって基本のキ。アンテナの配置や形状でも違って来るアナログの鎌足。ココ、手仕事ニッポン匠の技。日本最強。
したがって、世界シェアホルダーは、バラツキが少ない方が有利。国内メーカーの保護には非関税障壁があった方が有利。海外の安いケータイがどばーっと入って来ても、「あんなのデンパ掴めないヤスモノだよ!」と言える。逆に海外では「日本製は高いくせに入りが悪い!」て事になりかねない。いくら自信があっても、世界シェア獲る気があるなら「匠リソース」は分散しない方が有利な筈だが…。
まぁでもメーカーさんも、いつまでもSo-net専用PCや、nifty専用PCばかり作っていても、世界市場獲れない事は判ってはるとは思う。
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例えば。LTEの時代に非関税障壁を設け、合わせてSIMロック解除が成立すれば、国内メーカーが「ガラケーより魅力的なデバイス」を、自前で開発する余地がある*3。「Space Town Booksを一番楽しめるのはシャープだけ!」とか、「SOSで買った音楽は、機種変してもIDとパスワードがあれば再ダウンロードしていただけます!」とか、その手のサービスを開発し、「任天堂型知財ブロック」を築く時間が稼げる。
iPods
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Apple TV
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iTunes Store |
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Apple TV
内蔵モニタ
(?)
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こうなると「製造業」という括りでは捉えきれない。「自家製bit」と「有価bit」の流れを「川上から川下まで」制圧し、「テラ銭」と「蛇口」で喰ってゆくという感じだ。これは、日本のキャリアが先鞭をつけた。電波免許がなくても手がある事は、Appleが証明した。
- WiMo にはワード・エクセル・パワポ・アウトルックがある。
- iPhone には iTunes ライブラリがある。
- Android には gMail がある。
- ブラベリは、プッシュメールを抑えてる。
- 国内キャリアは、ケータイメアドを抑えてる。
日本のメーカーがこの先きのこるには、これらに匹敵するユーザーライブラリを囲い込む必要があるだろう。
ハードは薄利で数を売り、利幅はBitで叩きだす。このモデルは、山内任天堂が確立したものだ。iTS如き「初心会流通」に過ぎない。
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趣味的には、10年くらい華為のPocketWiFiとHTCのスマホと最安のガラケーで過ごす事になりそうな気もすんだけど。
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【メモ】
- ケータイのデンパは、上りと下りを分けないと、ハモるとかできない。いちいち「以上!」とか「オーバー!」とか、トランシーバみたくなる。
- 各国とも「デンパの空き地」は少ない。四苦八苦はドコも同じ。
- 「アナログTVの立ち退き(aka.地デジ)」のお陰で、2012頃からワールドワイドで「黄金周波数帯」に空きが出る。
- だもんで「地アナ停波延期」は、「グローバル電波帯域再開発」に乗り遅れる。
- 日本の地デジ移行がケツカッチンの押せ押せなのは、我々の意思決定システムが、90年代半ばまで「アナログ・ハイビジョンの銃剣突撃」を潰せなかった事に依る。