ルーマニアの、国内のテレビ・ラジオ局に「明るい」ニュースと「暗い」ニュースを同じ割合で放送することを義務付ける法案。

経緯

  • 080625:上院可決。大統領の承認後、施行の見込み。
  • 080709:憲法裁判所が同法案を違憲と判断。

法案の目的

 「社会全体の雰囲気を向上させ、日常生活において、精神的・感情的にバランスのとれたものの見方をする機会を国民に提供する」こと。

勢力分布

賛成派:
  1. 国民自由党(National Liberal Party)←与党
  2. ルーマニア党(Great Romania Party)←野党。民族主義

超党派。共同提案。上院で全会一致。

反対派:
  1. ジャーナリスト
    • 1989の共産党政権崩壊まで厳しいメディア規制。
  2. 野党PDL:←たぶん上院に議席が無い。デモクラティック・リベラル党?
  3. ニュースの「明るい」「暗い」の判断を委ねられる、国の視聴覚委員会
    • 「ニュースはニュース。明るいも暗いもなく、単純に現実を伝えているだけだ。このような定量的な基準がうまく働くとは思えない。世の中のできごとや人の心は、計画できるものではない」
  4. 国境なき記者団:同様のメディア規正法があるのは、中国や北朝鮮くらいであると非難。

所感

 法案自体はネタっぽく見える。反対派の主張のほうが妥当に見える。ルーマニアの政党勢力分布や政治情勢などはわかりようがないが、与党と民族主義野党が結ぶなら「デモクラティック・リベラル」はそらハンタイだろう。

 しかし、方法論はともかく、目的じたいは、結構な支持をあつめたのではないか。盛り上がる音楽。不安を煽るカメラワーク。前のめりのキャスター。ゴシップとマッチポンプと、わかりやすいワルモノ叩き、、、これらは、部数/PV/シチョーリツが全てです!な世界には付き物だ。

 ときどきこういう動きがあると、自戒効果が出るかもしんない。「その社会にとって妥当な程度」で落ち着く保証はないが、新聞やテレビニュースみてるとココロがささくれる事があるのは確か。