URについて。

年間1200億円(2007年度)も税金が入ってんだから、最強でなきゃおかしい。

「UR都市機構」というのは、天下りの温床とされる独立行政法人のひとつ。スジ論を言えば、歴史的使命を果たし終えた段階で、改組・解体、あるいは民営化されべき機関なのぢゃないかと思う。

都市再生機構 - Wikipediaの「歴史」の項。

高度経済成長期の1955年、中産階級に良質な住宅を供給する目的で日本住宅公団が設立された。当時は都市への人口流入が進み、住宅が極端に不足していた。

従って、住宅不足が解消した段階で、所期の目的は果たし終えているのだけれど、一度できてしまった組織と言うのは存続を図る。

経済が安定期に入って住宅の需要が減少したことに伴い、建設する住宅の量から質への転換を図るようになった。また、都市公園の整備などにも力を入れるようになった。

これ自体は理解できないでもない。しかし、都市計画の転換(用地指定や緑地保全計画の見直し)や、市場競争(住宅の質)で済むような気がしないでもない。09Q1現在に至っては、「都市再生のプロデュース」など、入札で民間デベロッパーを競争させりゃ済むような目標を掲げている。

これは旧建設省・現国土交通省にとって大口の天下り先として機能している事が大きい。

高度成長期にはこうした公社・公団の類いが無数に生産され、佳く本来の機能を果たしたが、70年代中頃には、乱立や、公営ならではの非効率が多く指摘される事になった、90年代半ば、橋本内閣の手で、その多くが「独立行政法人」の形に整理された。
***

2007年末、福田内閣は、これら独立行政法人の整理・統廃合を目玉とした。これは安倍内閣の置き土産でもあるのだけれど。行革担当大臣、渡辺喜美氏の独り相撲に終わった。

 極め付きは、この日、最後の3大臣折衝の相手となった冬柴鐵三国土交通大臣だ。町村官房長官は、渡辺大今回の独立行政法人改革の最大の目玉として要求してきた都市再生機構住宅金融支援機構早期民営化案を取り下げ、民営化を含めた経営形態のあり方を「3年かけて検討する」という代替案を提示。冬柴大臣と押し切ろうとしたという。しかし、これに、渡辺大臣が納得せず、「5年以内の株式会社化」を求めて噛み付いたことから、両案の間での裁断を、首相に仰ぐことになったとされる。いずれにせよ、こうして、早期民営化という抜本策は見送られてしまったのだ。

できあがった改革案は、現在、102ある独立行政法人を、16減らして86に減らすというものだが、目玉になるような民営化は存在しない。それどころか大半が、職員数十人規模の小さな法人の統合にとどまっており、「抜本的な天下りポストの削減などは望むべくもない」(関係者)

以上、福田政権、官僚に敗北! 骨抜きの独立行政法人改革| 町田徹さん|2007/12/21より。

これが渡辺喜美氏の後の離党に繋がるのだけど、抵抗の主軸は、官邸を動かす内閣官房の「官邸官僚」だったようだ。

中央官僚は、安倍内閣の頃から内閣官房・行革推進本部事務局に出向させていた事務官を引き揚げたり、後任を出すのを拒んだりと、地道に息の長い抵抗*1を続けており、小泉・安倍時代の『官邸主導、政治主導』は、福田内閣の頃には『官邸官僚主導』に化けていた。このへん、陸軍大臣現役武官制を駆使した主導権争奪にちと被る*2

***
最後に、アエラ-2009/02/16号 P19から抜粋。

本誌は昨年、年間1千数百億円もの国費を受けるURとそのファミリー企業の間で、天下りと、価格設定が不透明な「随意契約」による発注が常態化し、税金が無駄に使われている疑いがある事を伝えた。
その取材で、
「現在抱えている仕事を民間に任せた方が、コストがかからないのではないか」
と質問すると、URやファミリー企業の担当者は決まってこう繰り返した。
「私たちにはセーフティネットとしての役割がある」

■離職者の主な公的賃貸住宅への入居状況

- 入居可能な空き戸数 入居実績(2009/01/30現在)
都道府県営住宅 1.2万戸 1079戸(1869人)
住宅供給公社の住宅 0.6万戸 77戸(159人)
UR 2.3万戸 11戸(11人)

*1:あ〜、草食系ならでわ、ってゆうの?

*2:この点で、『3年間政権を維持すれば自民党と官僚内閣制はつぶれる』とか言ってるオザワンはなかなか魅力的だと思っているのだけど、失言癖はちと痛い(いろいろとぶっちゃけ杉だ)。脇も甘いってゆうか...なんだなんだ東京地検特捜部が公設第一秘書逮捕って