第7回、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(日本版フェアユース)を巡る報道の印象。と、余談。
配布資料が前々日には朝日の手に渡っていたっぽい。20日の法制小委で中山委員がこれに苦言を呈している間に、日本版フェアユースに反対する団体が意見書を公表していた…よくある話といえばよくある話だが、いいのかねこーゆーんで、みたいなメモ。
【甲】時系列
01/19:朝日朝刊:著作物公正利用範囲は「限定的」 文化審検討
他人の著作物を利用しやすくする著作権法の新規定「日本版フェアユース(公正利用規定」を巡り、文化審議会が、著作物を許可なしで利用できる範囲を限定的なものにする方向で検討していることが18日、わかった。
文化審議会は有識者によるワーキングチームをつくり、新規定の具体的な中身を検討してきた。20日の著作権分科会・法制問題小委員会に提出される報告書の概要によると、著作権者の不利益につながりかねない複製には慎重で、社内会議で配るために書籍の一部をコピーするなど、企業内での複製は新規定の対象としないという意見が大勢を占めた。他人の著作物を利用して新たな創作をするパロディーを対象としないとする意見も大勢だった。
一方、利用の量や質が軽微なものや、著作者に特別の不利益がない範囲のものは、認める方向だ。テレビ番組のロケで偶然に他人の絵画を撮ってしまう「写り込み」など、付随的な著作物の利用行為は認めるべきだとする意見が大勢だった。技術開発・検証のための複製も認めることに委員の多くが賛成した。
(赤田康和)
- 『20日の著作権分科会・法制問題小委員会に提出される報告書の概要』とは、法制問題小委 / 権利制限の一般規定ワーキングチームの報告書と思われる。このWTは2009/12/24(平成21年第8回)が最新だが、2010/01/20現在、報告書は左記リンク先では配布されていない。
- 第7回法制問題小委議事録で入手できる。資料3−1(概要)と資料3−2(全文)。
- 総務省などでは、配布資料を開催告知と共に事前公開する例がある。文部科学省でも審議会の開催告知はしているが、文化審議会では2008/8月以降、どちらもやっていないようだ。
- したがって、入手先は、WTメンバー、法制問題小委メンバー、文化庁職員、ないしは、赤田記者がサイコメトラーかなんかだと思われる。
- 入手元が文化庁職員の場合、受け渡し場所は「文部科学記者会 」の可能性が高い。
- なおこのWTの報告書は、ヒアリングや過去に出た意見から論点を列挙したもので、「議論のためのたたき台、結論は記述していない」と断っている(概要、本体とも)。したがって、ちょー厄介だが『新規定の具体的な中身を検討してきた』は、正確さにはちと欠ける。『委員の多くが賛成した』もいささかまぎらわしい。
- 「著作権分科会・法制問題小委員会の委員」としては「おれらの存在意義ってナニ?空気できちゃうじゃん?」となるだろう。
- 上記記事、および、以下に関わる報道は、asahi.comで発見できなかった(2010/01/20深夜)。
01/20:第7回、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の当日に見たもの。
報道 | コメント | ||
10 | 10時-12時:第7回 法制問題小委員会 (文化審議会著作権分科会) 配布資料と議事録(←コチラは予定) | ||
11 | 11:51共同:著作権法で文化審チーム報告書 公正利用導入の是非示さず | 予定終了時刻9分前に第一報 | |
11:??:日本新聞協会、日本版フェアユース規定の導入に反対する意見を提出 11:54時事:日本版フェアユースに反対=文化審小委に意見書−新聞協会など | [▼]予定終了時刻6分前に、反対意見書の報道。 | ||
12 | ※おべんとうとか出るわなふつー | ||
13 | |||
14 | 14:06讀賣:著作権の新規定、新聞協会などが反対意見書 | 予定終了時刻+2:06 | |
15 | |||
16 | |||
17 | 17:54知財情報局:日本版フェアユース規定導入反対の意見書、新聞協会など提出 | 予定終了時刻+5:54 | |
18 | 18:50岡田有花氏:「日本版フェアユース」の対象は 報告書まとまる | 予定終了時刻+6:50[▼]中山委員、情報漏れに苦言。 | |
19 | |||
20 | 20:51ITMedia:新聞協会など、日本版フェアユースに反対 「Webページの無断印刷は被害甚大」 | 予定終了時刻+8:51 | |
21 | 21:31毎日:著作権法:新聞協会が反対意見書 2次利用緩和に | 予定終了時刻+9:31 | |
22 | 22:44産経:著作権「フェアユース規定」、導入の結論出ず 賛否の隔たり大きく 22:47:サンケイビズ:何が公正? 線引きあいまい、フェアユース規定 | 予定終了時刻+10:44 予定終了時刻+10:47 |
▲『「権利制限の一般規定」導入に関する意見書』
新聞協会は1月20日、文化審議会法制問題小委員会に対し、「権利制限の一般規定」(日本版フェアユース規定)の導入に反対する意見を権利者団体と連名で提出しました(意見全文はこちら)。
日本新聞協会トップページ
意見書提出者
うぃきぺ | 所管 | 公式 |
社団法人日本文藝家協会 | 文科省 | 公式 |
一般社団法人日本写真著作権協会 | 有限責任中間法人 | 公式 |
社団法人日本書籍出版協会 | 文科省 | 公式 |
社団法人日本雑誌協会 | 文科省 | 公式 |
一般社団法人学術著作権協会 | 著作権等管理事業者として文化庁に登録 | 公式 |
社団法人日本新聞協会 | 文科省 | 公式 |
現在、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会において検討が進んでいる「権利制限の一般規定」(日本版フェアユース規定)に関して、より公正な議論をお願いする意味から意見を申し上げます。同小委員会ワーキングチームは、「形式的権利侵害」への対応に関連して「小さなフェアユース」の導入の可否などを検討してきており、この中で「企業内の利用」「ウェブページの印刷」などが議論になっていると聞いています。『と聞いています』なので、公表前に入手した資料に基づくものではなさそうだが、予定終了時刻に合わせて対抗情報を用意していたと思われる。くっ、クロスカウンタぁッ!!
………どーやってタイミングはかったんだろう?
【乙】仮説:文部科学党と12ギルド連立政府
中央省庁は政党本部。
- 例えば「文科党」はこんなカンジ。
- 日本には、この手の事実上の政党〜〜職域単位の「ギルド政党」〜〜が12個ある。
- つまり日本は「12ギルド連立政府」だったんだよ!。
- なななんだってー!
みたいな。
12ギルド連立政府
とゆう仮説。内側の「マントルっぽいとこ」だけ見ると「官僚内閣制」とか「政官業、鉄の三角形」て事になるんだろうけど、多分コレそれより堅い。12ギルドが国民の隅々まで根を張ってるから。たぶん「有名で立派な会社の正社員」とそれらの「下請けに御勤めの方」はほとんど「ギルドメンバー」だ。国民の圧倒的大多数が「どこかのギルドメンバー」で、「経済がずんずん伸びてれば」、特に問題は無い。さして非民主的でもない。理想の人民公社体制と言っても良い。問題があるとすれば、現行の議院内閣制がコンナモノぜんぜん想定外な事と、職業選択の自由が一生に一回こっきりなくらいだ。
「族議員」のおしごと
ちなみに、この中で「族議員の機能」を考えると、次のようになると思う。
- 末端の党員や、別のギルドのご要望を受けて、
- このピラミッド内を縦にバイパスしたり、他のピラッミッドと横に繋いだりする係。わりとマメ。
- 派閥は総合病院。各種族議員を取り揃えてお待ちしております。
- 政策や法案の錬成は、各ギルドにお任せ。そっちのが上手い。
つまり大筋は各ギルドにお任せだが、それではちと不満がある。という方がお客様。♪お任せ下さい政治トラブル、暮らし安心くらしあ〜ん。だ。ただまぁ代金はそれなりに掛かる。票とか選挙資金とか。だから「集金・集票組織を伴わない民意」は、アウトサイダーという事になる。
「有識者会議」の機能
ちなみに、この中で「有識者会議」を考えると、「あんなものカザリです!」てところかと思う。
「ホントの議院内閣制」では有識者会議なんて要らない。法案や政策や予算配分は、国会議事堂で国会議員(Lawmaker=法の製造業者)が喧々諤々の議論をやって錬成してゆくものだ。「有識者」は、その過程で、必要に応じて「公聴会」に招待されるものだ。んが、ギルド連立政府では、「有識者会議のお墨付き」を得て、「官僚が作成した法案や政策や予算案」が、「粛々と通過」するのが良しとされる。
ギルド連立政府の傾向
ちなみにギルドの要望は、ギルドの利益が第一になる。例えば新聞協会ほかが発表した『「権利制限の一般規定」導入に関する意見書』は『ウェブページの無断印刷は被害甚大』としている。え、あたしゃ別に全然構わんですが。というページについては、
これらは文化庁が制定している「自由利用マーク」を付けることによって十分に意思表示できると考えます。イヤ、それはアンタらが「不自由利用マーク」を付けてくれよ。とオレなどは思う。だって「権利の上に眠る者はこれを保護せず」てのは、基本中の基本の筈だもの。立場上そう言いたくなるのは解らなくもないけど、「ボクのかっちょいー自転車を見ても良いけど乗っていってはイカンざき」てんなら、鍵も掛けずに庭先放置はイカンざき。
ギルド連立政府の弱点
つまり各ギルドは、「既存の生産者・供給者・事業者ベースの分類」だ。なので、以下の「アウトサイダーズ」の民意をあまり拾えない。
なぜならこれらは「12ギルドの外」に居るからだ。ご存知の通り、これら「アウトサイダーズ」はずんずん増えている。
オザワン民主党のこれまで
ちなみに鳩山兄さんが何をしたいのかは良くわからないが*2、これまでのところオザワン民主は、
2番は独裁的だとか言われてるけど、実は教科書的な意味では、コレが「ホントの政党」だ。一方で「ホントの政党」が上手く機能するには、
- 既存のギルド政党12個を、分断する必要がある。縦にも横にも。
当然ながら。混乱は不可避だ。だが同等の2番型政党があといくつかできれば、日本は、「ホントの議院内閣制」に近づき始めるだろう。
それには各政党が、自力で民意を収集して*3政策や、マニフェストを錬成する能力を鍛える事が不可欠なのだけど、他党がどうなるかまでは民主に背負える事ぢゃない。自民やみんながコレに失敗すれば、民主が大政翼賛会やナチスっぽくなるワケだが、その場合は共産党が蜂起、、、は、ないと思うが、最後の安全弁になり得る。
オザワンが正義の白い鳩とは思わないし、財務党をミカタに引き入れたのが一時の方便で終わらない可能性もある。んでも。今の段階でオザワンが居なくなったら逆戻りな希ガス、、、それで「増えてゆくアウトサイダーズ」に適応できるのかなぁ。