ほうどうのしめい。
1)『「小選挙区制で二大政党制を」と突き進んできた帰結』
制度 | 党執行部の制裁手段 |
小選挙区制 | 除名・非公認・刺客候補 |
比例代表制 | 名簿の掲載順位 |
これで「党の縛り」がキツくなる。
2)結果:
- 『自民党から「党内言論の闊達さ」を失わせているのではないか』
- 『「右から左まで,一党で多様な民意を吸収できる懐の深さ」も喪失しつつある』
3)ただし、以下二つの転換が伴えば、そう悪くもない筈。
/ | 現在地 | → | 目標地 |
政党 | 耳あたりの良い選挙公約 | → | 官僚に骨抜きにされない現実的なマニフェスト |
マスコミ | 『日本では,マスメディアが勝手に争点を設定し,煽り立てていく傾向が強い。』 | → | 各党のマニフェストを並べて比べて評定する。 |
有権者 | 『情緒的に一方に偏る投票行動も目立つ。』 | → | 冷徹な分析に基づく投票行動 |
ちょっと有権者の目標地が学級会じみてるけど。
すくなくとも上二つは、ゆっくりと十年以上かけて進んでゆくと思っている*1。
4)
自民党が、「党内言論が闊達で、右から左まで多様な民意を吸収できる懐の深さ」を備えていたなら、部会や政務調査会で官僚と一体化して政策を練り、記者クラブでマスコミと一体化して「世論醸成」しても、そう大きな間違いはない。この国はずっとコレで回して来たんだ、という自負もあれば実力もあるだろう。うまくできてもいる。
ただし、永く続いた構造は必ず澱む。個人の資質以前に、不透明で、責任が分散し過ぎている。政権交代が無いとなれば、外務省はいくらでも密約できるし、行政文書の公開にも熱が入らない。かんぽの宿など建て放題だし、郵便局長さんは支配人なり放題だ。核密約などより、オンゴーイングの小粒な密約が大量にあり得る事のほうが問題なのぢゃまいか。固定資産評価額などより、それで喰ってる「普通の市民」のほうが問題なのぢゃまいか。密約も官業もそれ自体は否定しないが、それが秘するに価すると決断するのは、誰なのか?それを続けるに価すると決断するのは、誰なのか?個人の資質以前に、不透明で、責任が分散し過ぎている。
5)
「小選挙区制で二大政党制を」というのなら、当然マスコミも『勝手に争点を設定し,煽り立て』ていられるわけがない。政党にしたっていつまでも「官僚が悪い(ボクタチの所為ぢゃないです)」と言っておれるワケもない。有権者にしてからも「アノ時は熱狂で小泉さんに入れたけど」で済む話ではなくなる*2。
政党もマスコミも、情報分析力〜たんなる情報の収集ではなく、吟味する力〜の強化が必要だろう。09Q3現在、国内最強は官僚機構であるように思う。落ちてはいるが相対的には、いまだ最強であるように思う。
官庁が早期退職慣行(天下り)を必要とするのなら、政党やマスコミが政務担当秘書や論説委員に迎えてもいいんじゃないか?目標地に近づくにはすげぇ役立つ人々だと思うんだけど。
いずれにしても、政党には「官僚に骨抜きにされない現実的なマニフェストを生成する能力」が必要だ。マスコミには「マニフェストを並べて比べて評定する能力」が必要だ。この2能力が高ければ高いほど、有権者が「冷徹な分析に基づく投票行動」を取る確率が上がる。
カウンターは所詮カウンター。どこまで行ってもアンチはアンチ。どこに落ち着くにせよ生みの苦しみは避け難い。