シンガポールDRM調査
Odex社について
Odex社の海賊版撲滅キャンペーン
- 1999
- 2003年
- なお、日本の実写映画は権利関係が複雑で許可がとれず、撲滅運動は行われていない。
※テレビ番組も同様と思われる(光学ディスクが売れるのであれば)。
- 2004〜
- その後、違法流通は「BitTorrent」へ移行。
- 日本でアニメの放送終了後、中国語字幕つきは6時間、英語字幕つきは 2-3日でネットに流出
- 2007時点でシンガポールでは、少なくとも30万話/年。
- これによりOdexの2007年の売上げは2005年の10%にダウン。
- 2007年、Odex社は、ISP3社を訴訟。
- 要求はIPアドレスを含むダウンロード情報の開示。
- 目的は違法ダウンロードをする個人に賠償請求
- うち2社に勝訴。ここで得た情報からダウンローダーに対し、2,000〜3000米ドルの損害賠償請求。
- 9歳の子供が含まれておりマスコミネタになったが、親との話合いで子供の1年間の小遣額にあたる$600を親が払った。
- 賠償金は弁護士費用、訴訟費用、調査費用を補填する資源として用いられる。
- 【DCAJ注:Odexはこの賠償請求に関しアニメファンの集中砲火を浴びた】
- のこる1社やや錯綜
- 8/23/07地裁判決:「OdexがExclusiveな権利を有するのは1件しかなく、また、提出された証拠では不十分である」とされ、敗訴。Odexは控訴した。
- 1/29/08高裁口頭判決:(判決の出る前に、日本の権利者何社かがシンガポールへ行って証言している。)「Odexには情報公開請求の権利はない」とされ、Odexの敗訴が確定した。ただし、「ダウンロードは違法」、「日本の著作権者自身には情報請求権がある」ことが認められた(書面による正式&詳細判決は3/7/08)。
- この高裁口頭判決により、前2社相手の勝訴が無効となる。
- 賠償金を払ったダウンローダー(数百人と言われている)が返金をOdexに迫る動きがある。
- ただし、元々の賠償請求の根拠が、日本の著作権者の著作権である事は変わらない。代理人(Odex)の戦術が崩れたに過ぎない。
- このあと、違法ダウンロードは5〜10%ほど減ったとされるが、季節的要因によるものとも考えられる。
- (※なんだ季節って)
- 他方、2006年10月よりOdexはVOD開始
- MDA(メディア発展局)と盛んに打合せをもっている。
- サイトはハッカーの襲撃で08/03月現在、機能しなくなっている。
- それまでは、「瀬戸の花嫁」、「東京魔人」、「大和撫子」、「D. Gray-man」などを無料で見せていた。
- TV局への日本アニメの供給はシンガポールでは全てをOdexが行っていると言ってよいが、販売というより殆どが提供(無償)。
- インターネットでアニメがタダで見られる状況であり、TV局へのアニメ販売は1件のみ(2007)。
- 日本での放送後5日目に中国語字幕つきで放送していたが、これもネットでの違法公開に先を越された。
- 放送日を繰り上げるも、海賊サイドはさらに加速。
- 放送局は高視聴率の得られる時間帯(曜日?)の関係から対抗せず。
- (※VODサイトが機能していればそちらで先行放映、TVが2番館というカタチで反撃できたとは思うが、いずれにせよ「アニメはネットで只で見るもの」という生活習慣を変えるのは容易ではない)
- (※いつでもどこでも好きに見れるなら、ダウンロードも光学ディスクも必要ないのではないか。動画共有鯖に角川認証システムと字幕追加機能つけて、無償会員は広告だらけ。有償会員無広告とか。テレビは「広報」として維持。もっとも、日本の無料放送での放送を続ける限り、流出は止まらないが、、、だっ、フリーオって!)。
シンガポール政府関係者の見解
著作権については以下の政府機関が存在するが、企業間のことは訴訟に訴えることになっており、また、インターネットのことはカバー外。
- IPOS (Intellectual Property of Singapore)
- CID (Criminal Investigation Department)のIPRB (Intellectual Property Rights Branch)
著作権法
- シンガポールの著作権法は、インターネットもカバーしている。P2Pソフトによるコピーについても、初めての訴訟で、高裁は「違法コピーであり、著作権者は通信会社に通信の記録の開示を求めその記録に基づき、コピーを行った各人に損害賠償を求めることができる」との見解を示している。
- 今回の訴訟の原告(*Odex社*)は一部の権利しかもたぬ著作権者であり、すべての権利を持つ著作権者(*日本の著作権者*)にのみ情報開示請求権と個人にたいする損害賠償権を認めたのは妥当な判決と思う。
- この訴訟により、国民の間にP2Pソフトによるコピーは著作権者から賠償請求されうる違法行為であるという意識が芽生え始めたと思う。
- 今回、訴訟を起こしたコンテンツ配給業者は高裁の「違法」、「ISPは情報公開義務あり」、「個人への賠償請求可」という判決を引き出したと言う意味で功績がある。
- しかし、個人に何千ドルもの請求をし、また、9歳の子供にも請求したことが記事になり、今後、シンガポールで違法コピーがなくなって行くとしても、その業者は多くの客を失ったと思われる。
- 音楽の世界では、soundbuzz.comというサイトが消費者を敵に廻すことなく、賢く商売を行なっている。
- 米国においてもBitTorrent対策の技術は開発されておらず、今のところ、対処方法は発生した問題への対処(例=高裁判決)と国民教育による意識向上しかない。
JETROシンガポール駐在員の見解
- シンガポール政府はアジア地域のコンテンツハブになるべく、積極的に法整備や海賊版取締り等を行っている。
- 東南アジア地域においては政府、国民ともに知的財産に対する意識が高い。
- 違法ソフト利用を可能にする機材を販売した場合、罰金20,000シンガポールドル禁固2年が科せられるなど刑罰は厳しい。
- しかし、実際には一部の地域でニンテンドーDSのソフトをネットから違法にダウンロードするための機材「R4」が出回っており、昨年11月に警察と米国のエンターテインメント・ソフトウェア協会による立ち入り検査では、「R4」(約 100シンガポールドル)の販売が7店舗で発見され、合計200機押収された事があった。
- ニンテンドーDSには違法ソフトの動作を制限する機能が組み込まれているが、「R4」を利用すると、この制限機能が解除可能となり、40〜60シンガポールドルで販売されているソフトを無料でダウンロードできる。これらのソフトを販売しているニューエラ・エンターテインメントの発表によると推計90%近い利用者がこの違法ソフトを使っている。
- (※この手の機械はソフトやセーブデータの「バックアップ」を前面に出すのが通常であり、「ネットから違法にダウンロードするための機材」としては売られていない。R4もGBカートリッジ型のSDアダプタと、PC用読み書きソフトに過ぎない。むしろアダプタ部分に若干のチップが乗っており、R4用の画像閲覧ソフトや青空文庫閲覧ソフトなどを開発・配布する個人もある。実態としては購入者のほとんどが「ソフトをネットから違法にダウンロードするため」に使っているとは思うし、それを見越して売られているとは思うが、その観点だけで見るとやや面白みに欠ける。)
- 昨年12月に東南アジア地域のJETROが集まりコンテンツに関する会合を開いたが、違法行為の取締りを第一に考えるべき、という意見と、まずは、流通促進に重きをおくべき、という両論が出た。
- (*ゲームを売りたきゃまず客をゲーム漬けに。)
- 日本のコンテンツは大変人気がある
- しかし他国コンテンツと比較し輸入コストや版権が高い。
- 結果、正規版があまり流通せず、海賊版や不正コピー、違法ダウンロードの横行を招いている。
- しかし、価格を下げても人口450万人のシンガポールで経費回収は難しく、
- また、違法ソフトの被害規模も小さいため、
- 著作権者側も違法行為の取締りに全力をつぎ込めないと見られる。
- (*R4は日本でもさして苦労なく買える。というかその辺のゲーム屋で売ってる。任天堂がその気になれば完全制圧が可能だが、そうはしていない。「コンテンツ」というのはあくまでモノツクリから見た言い方で、ゲーム屋もアニメ屋もマンガ屋も、自分らの飯の種にそんなコトバは使わない。ゲームはゲーム、アニメはアニメ、マンガはマンガ、餅は餅屋だ。モノツクリ教がエンタメ業界の空気を読むのは難しい。)
その他
- 役所の名前が「情報通信藝術省」(*どんな括りやねん!)
- 傘下に「メディア開発庁」「情報技術発展庁」
- 別に「科学技術省」
- 傘下に「国際協力局」「ハイテク開発局」(*どんな分担やねん!)
- 中国科学院(CAS)の自動化研究所はすでに科学院初の海外研究所をシンガポールに開設することで合意
- (※教育、文化、芸術はどっか無いのか。「情報・通信・およびそれらに関わる藝術省」なのか、それとも単に「情報, 通信, and 藝術の省」なのか。MICA。すげぇ後者っぽい。「歴史の浅い統制国家であるがゆえにタイなどと違い文化的な観光資源に乏しい」となるとさらに後者っぽい)
- シンガポールではDRMを利用してはいるがシンガポールのDRM産業の産業規模情報があるかと言えばそれは極めて疑問。
- (※そんな数字ねぇよという事。DRM関連で筆頭に上がっているのがコレ。デジタル・コンテンツ・アソシエーションの関心のありかがわかろうというものだ。だから「コン(略)
- シンガポールはセキュリティー面で信頼性が高く、言語等に関する編集能力もあるので、アジア各国へのデジタルシネマ配給の基地になり得る。
- (*あ、そうか他民族・多言語・多文化国家だ。東亜のローカライズ拠点が狙えるんだ。
- (*「ローカライズド・イン・シンガポール」がブランド化して「海賊版より訳がウマい」「声優がウマい」となりゃ、その先も狙える。打倒韓流・ボリウッド。
- (*豊かは豊かなんだが、愛国心や国家帰属意識の醸成にはただならぬ苦労を払っている。ひとくちに「国民性」というのが掴みにくい。
- 都市国家であるために国内の人口や消費の規模は小さいものの、英語や中国語の話者の多さから、香港と並び、欧米諸国の多国籍企業のアジア太平洋地域の拠点が置かれることが多く、特に近年は東南アジアの金融センターとして不動の地位を保っている。
- 貿易立国であるため一人当たりのGDPは非常に高い。交通の要所として古くから繁栄、独立後は積極的な外資導入で、アジアでは日本につぐ工業国に成長している。
- 英語と各種中国語、マレー語という東南アジアの主要言語を揃って使用することのアドバンテージを生かし、東南アジアの主な情報発信地の一つとしてポピュラー音楽やファッションなどで存在感を見せている(ディック・リー)が、土地が狭いことや政府の規制が厳しいためもあり国内に娯楽施設は少なく、若い世代は映画、クラブやビリヤード、スヌーカー、カラオケに興じることが多いようだ。特にビリヤード場は都市部のそこかしこで見かけることができる。また、最近ではインターネットカフェが増加している。
- 中東部のゲイラン地区には国公認の売春地区がある。トランジット(飛行機乗り換え)で立ち寄る西洋人(主にアメリカ系)が中国本土やロシア東部の女性目的に立ち寄ったり、日本人が顧客の接待で立ち寄ったりするが、基本的にはローカルのシンガポール人が一番多い。
- また、トップレスダンスショーを披露するパリのキャバレー「クレージーホース」を政府当局が誘致したが、客足が伸びず、開業からわずか1年あまりで閉店される事となった。
- しかし、性的表現に関しては上記を除いては全体的に厳しく、例えば雑誌のヌードグラビア掲載は厳しく規制されている。そのため、日本のグラビア付週刊誌などは、ヌード写真がある場合はそれを切り取った上で販売されている。また、男性間の同性愛行為は違法とされ、最高で終身刑が課されることとなる。なお、女性の同性愛については特に禁止されていない。
- 人民行動党による独裁体制の弊害の一つとして、各種マスコミに対する報道規制がある。一例として、非政府組織(NGO)「国境なき記者団」が毎年実施している報道の自由度調査の結果、シンガポールは毎年きわめて低い評価を受けている。