「政府高官」=各省庁の局長クラスのことが多い。

2009年6月29日20時27分
 日米両政府の「核持ち込み密約」の存在を河村官房長官が否定したことについて、1政府高官は29日、2記者団に対し「政府見解だからしょうがない。文書そのものがないことになっている。ないものは出せない」と、政府見解が建前とも受け取れる発言をした。
 元外務次官の村田良平氏が密約に関する文書を引き継いだと証言したことについては「政府見解として固まっているから、その人の言っていることは正しい、なんて言えない。本当に証拠を出してくるなら別だが。外交とはそんなものだ」と指摘し、政府として調査する考えがないことを強調した。

1:政府高官

「政府高官」=各省庁の局長クラスのことが多い。局長以下は、○○省筋となる。

ばっと外務省組織図をみると、やっぱ北米局長かなと思う。

2008/12/19 20:44

【北米局長】
 梅本 和義氏 東大大学院修了。77年外務省。駐英公使などを経て07年8月から総合外交政策局審議官。57歳。東京都出身。

大臣官房な気もするけど、ソコは一階級上だ!って気もするし。

2:記者団に対し

「団」と言うからには朝日単独では無い。記者名の明示もない。発言者をぼかすからには「そういう約束」と思われる。
教科書的な意味での「ジャーナリスト」は、個人的な信頼関係で情報を取るものだが、日本ではよろず信頼関係は「組織同士」である事がままある。記者名の明示がない。という事は、新聞社内部に「だってその記事は、別にソイツ個人の功績とは言えないだろ?」的な空気がある事も示唆する。

「記者団に対し発言する場」が、「実名と肩書きを隠す約束の記者クラブ合同会見」であれば、「政府高官」は、実名を隠して安全に、「世論を観測するアドバルーン」を上げたり、「空気を醸成」したりできる。

もちろん「記者団」も共同正犯という事になる。やりとりされる「情報」をオカネに置き換えれば、それは官製談合や贈収賄と、さして違うものではない。
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まぁ、密約くらいあんだろうけど。米国の傘抜きで今日の日本があり得るかっつったら考えにくいし、核兵器つったって四六時中空飛んでるわけにもいかないだろうし、でもそれ国内で大っぴらにできた状況(≒民主的な手続きに乗っ取って同じ結論を出せた状況)だったかっつうと、たぶん「ぜってー無理」だったんだろうし。
外交のみならず政治全般に『そんなものだ』的な側面は、なきゃないで困る。
しかしタテマエでも一応日本は「民主主義国」なわけで。ずっと秘密、死ぬまで秘密ってよりは、出所をぼかしてじわじわと「まぁ、密約くらいあんだろうけど。」的な「空気を醸成」してゆくシカケは、無いよりは有ったほうがマシだろう。

日米両政府が1960年の安全保障条約改定時に、核兵器を搭載した艦船の寄港や領海通過を日本政府が黙認する密約を交わしたとされる問題で、1987年7月から89年8月まで外務次官を務めた村田良平氏(79)は29日、読売新聞の取材に対し「そういうたぐいの文書はあった」と述べ、密約の存在を認めた。

河村官房長官は29日午前の記者会見で、「密約は存在しない。歴代の首相、外相は密約の存在を明確に否定している。政府見解はこれに尽きる。これ以上の事実関係はない」と述べた。
(2009年6月29日12時33分 読売新聞)

しかし、こうした不透明さや、殆どの人が信じないあからさまなタテマエ論が通用する国てのは、外国から見りゃメダパニな、ハッキリ云えば信頼のおけない政治体制だろう。政府高官が『密約はないことになっている』てそんなw、脳をハックされてるぞ!て感じだものw。

米国には厳格な政府公文書の保存義務規定があり、秘密文書の類いも秘密度に応じて一定年限での公開義務があるのだけど。

アレたぶん。ガワだけ真似しても日本では機能しない。なにゆえにこうしたメダパニなタテマエ論が発生するか考えるに、やっぱ政権交代が無い。てのはデカイように思う。ナカマの秘密は隠すものだもの。

さらに;

これだとホレ、前任者の秘密は隠すものだし、情報公開法も骨抜いちゃったほうがオトクだ。
官僚が実権を握っている事は、たかが「各省庁の局長クラス」が「実名と肩書きを隠す約束の記者クラブ合同会見」で「発言する」事じたいに現れている。そもそも密約を暴露した本人が「元外務事務次官」である点にも現れている*1

情報公開法の類いは、アレたぶん、実権者の選手交代が常態化しないと機能しない。んでもって前任者のあらさがしで血の雨が降った歴史がないと機能しない。ひらたく言うとノムヒョンの悲劇」をいくつか経験した後でないと機能しない。政治史とはそんなものだ。

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村田氏は首相には報告することはなかったとしながらも、時の外相には事実関係を伝えてきたことを明らかにした。

ってオイちょっとマテw。それは統治権干犯だw。

*1:米国だとこういうの告白するのは、ナントカ補佐官(またはそのスタッフ。いずれも政治任用)と相場が決まっている。記事の結びも、「真実を記した文書の機密指定は2XXX年に解ける予定」と決まっている